HD DVD vs. Blu-Ray

どうやら、次世代DVDの規格はブルーレイに一本化されそうですね。うちのような小規模プロダクションを含めて、映像に携わるほとんどの人が気にしていた規格闘争は東芝の電撃撤退によって落ち着きそうな気配です。

話が専門的過ぎるので、まずは予備知識。

映像の記録方式として、かつてはビデオテープが主流でした。VHSとか、ベータとかです。そして、ここ数年は、DVDがその座を奪うことになりました。直径12cm、見た目は音楽CDと変わらない円盤にテレビや映画の映像を記録する方式です。その中間には、レコード大の円盤を使うLDなんてものもありましたが、結果的には過渡期の一発屋で終わったので省きます。

ここまでは、従来のテレビの画質をどう記録するかという話でした。ところが、テレビ番組の一部がこれまでの標準画質(SD=Standard Definition)からハイビジョン(HD=High Definition=高解像度)へと画質を上げてきたために、それを記録する媒体、つまり、より高密度なデータを詰め込める方式が必要になったのです。

並行して、映画産業にも新たな商機が生まれます。家庭で名作を楽しめるように、VHSビデオが売れました。DVDになって画質が向上し、これも売れました。そして、HD品質の次世代DVDで名作を再販できれば、柳の下に3匹目のドジョウがいることになります。ちなみに、映画の元映像はフィルムで撮っているため、DVDや次世代DVDのデジタルフォーマットに変換する際に、そのフォーマット(データを詰め込む方式)が高密度であるほど、元映像に忠実な、映画館で見るような映像を再現できることになります。

かくして、映画配給会社と家電メーカーを中心として、次世代DVDフィーバーが巻き起こりました。そして、VHSとベータ、あるいはDVD-RとDVD+RとDVD-RAMの対決と同じように、真っ向から対立する規格競争が始まったのです。それが、HD-DVDとBlu-Rayです。

HD-DVDのメリットを一言でまとめると、後方互換性ということになります。具体的には、従来のDVDと似た構造のディスクを使うため、ディスクの製造ラインがある程度は流用でき、製造コストを抑えられるということです。一方、Blu-Rayのメリットは、ディスク容量です。高画質の映像を詰め込むには従来のDVDより高密度、高容量とすることが最大のポイントと言えます。その点、従来のDVDの5倍以上、HD-DVDの2倍近い容量を持つBlu-Rayの方が将来性があると考えられるでしょう。ここでは、前方互換性がより重視されているとも言えます。

当初、この規格争いはどちらが勝ってもおかしくないように見えました。しかし、この1年ほどはBD(Blu-Ray Disc)主導に傾いており、予想された最悪のシナリオに比べれば、非常に早い幕引きだったと言えます(VHSとベータの争いに比べれば、はるかにダメージが少なかったと言えるでしょう)。そして、その結果が前方互換性に軸足を置いた正常な判断だったと考えられる以上、東芝の決断は混乱の回避と消費者の保護を優先した英断だったとも思えるのです。

勝者に栄光を。そして敗者に祝福を。

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