「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」

久々の、気まぐれシェフの気まぐれ書評のコーナーです。自転車界に百戦錬磨の経営理論で革命を巻き起こす…というノリでは全然ない私ですが、お世話になっている人でそうした理論やその実践に造詣が深い人が、それをちょっとひねったこんな本があるよー、と教えてくれたので読んでみました。

ご存じない方のために、というよりは全然予備知識がなかった私のためなのですが、ドラッカーとは、こんな人らしいです(Wikipediaより)。Wikipediaでも英語版の方が彼の理論やらそれに対する批判やら色々と載っていますが、まあ詳しくない私が説明するのもはばかられる、20世紀を代表する企業経営思想家と言えるわけです。そしてこの本は、そんなドラッカーの使った「マネジメント」という言葉をウッカリ高校野球部で実践してみたところ…という物語です。

さて、この物語ですが、素晴らしかったです。萌えイラストの表紙が恥ずかしくて、ブックカバーという日本の商習慣に感謝してしまいそうな方も多いと思いますが、そもそも感動しがちな人は人前では読まない方が無難です。よよと泣き崩れるのをニット帽で隠す春の宵。私のことではなく、知人の話です。何が素晴らしいといって、やはりそのストーリーです。ネタは青春スポーツですから、グイグイと読まないわけにはいかないでしょう。例え私にとって、野球というスポーツ自体は好き嫌いの「嫌い」に近い側にあるとしても。

お題のドラッカー理論についても、予備知識がなくてもついていけるようになっているのが素敵です。また、実践例としても分かりやすいと思うのです。本は好きですが物語性がないと楽しく集中して読めない私には、ドラッカーへの良いイントロダクションです。

そして私が楽しく一気読みした理由は、まずドラッカー先生は置いておいて、ストーリーの面白さなのでした。野球に詳しくない身にはどこまで現実的か分からないけれど、十二分に有り得ると感じられる戦略の設定であり、登場人物もキャラが立っていて、スポーツ物語としても面白かったです。更に、物語中で全ての鍵となる出来事が、意志によって時を越えて再現されるとか、そういう演出にも私はきっと弱いんです。

ドラッカーがそのキャリアを通じて追求したのは唯一、「人間の幸福」だったそうです。そうした意味でも、小難しいビジネス専門書ではなく読み物として楽しめるクオリティを持ったこの作品は、ドラッカーを語り始めるには二重に正当なのかもしれません。しかしこれだけの作品だと、映画化とかされてドラッカーブームがなぜ今?みたいなタイミングで来ちゃったりするのかな?登場人物は何人か AKB48 のメンバーをモデルにしたそうなので、映画だったらキャストがどうなるのか、一抹の不安もあったりなかったりしますが。

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