アルマイト祭り

実は、新しいフレームの自分用プロトタイプが出来ました。まだ諸事情により組んでいないのですが、着々と部品を準備している最中です。今のフレームとはヘッドやBB(ボトムブラケット)といったパーツの規格が違うので、フレームだけ載せ替えるとしても必要な部品がいくつかあります。

ヘッドパーツやBBを用意したのですが、うちのブランドではないのでロゴもちょっとうるさいし、形も微妙に気に入らないし、ということでものによっては削って、アルマイトをかけ直しました。

アルマイトとは、アナダイズ処理ともいってアルミの表面に行う酸化皮膜処理のことです。ざっくり言うと、鉄の場合のメッキ処理と似たようなものです。表面の腐食防止に加えて着色もでき、硬度や摺動性を高めたりといったことも可能です。あくまでも金属自体の表面処理なので、塗装と違って剥げることがないのも特徴です。また塗装と違う点としては膜厚が数ミクロンから数十ミクロン、大雑把に言えば0.01mmから0.02mmくらいとなるため、処理による寸法の狂いが精密部分以外では問題になりにくいという利点もあります。

最近は自転車のカラーコーディネートに色々な選択肢が求められるようになり、色調が限られるアルマイトだけではなく塗装されたアルミ小物も増えてきました。が、工業的な視点から言うと、機能をないがしろにしているケースもあって気になります。塗装だと、組んで乗った状態で圧力がかかるところでは塗料が変形または剥離して寸法変化が起きるはずだからです。例えばハブのスポーク穴や、ヘッドパーツのスペーサー、ハンドルバー等について、使用中の寸法狂いで緩む可能性があると言えます。あくまで可能性ですが。

アルマイトで表現できない色の代表に、白があります(ちなみに、工業用語で言う「白アルマイト」とは無色=銀色のことで、白くはありません)。また、ネオン系に近いような鮮やかな色も無理です。塗装時の下地にガッチリ白を入れておかないと発色が悪いような色全般ってことです。けれども、白とかパステルカラーって結構人気がある色です。そこで何が起きるかというと、ファッション感覚でカラーコーディネートを売りにしているMTBルック車などでは、あらゆる部品が白く塗装されたようなものがかなり出回っています。一方でスポーツ用の真面目なメーカーの自転車がそうならないのには理由があるということです。

そんな理由でアルミの小物部品には最適と言えるアルマイトですが、DIYで処理できるキットなども売られています。色は自分で調合することも可能なので、楽しいですよ。私は久しぶりにやりました。

左上のステムは昔から持っているどうということもないものですが、最近引っ張り出して使ってみたら悪くないってことで、久々に日の目を見ることになりました。もとは銀色でしたが、ぶつかったら痛いので角をゴリゴリ削り、そのままではかわいそうなので再アルマイトしました。表面が化学洗浄したままの梨地なのが逆にお気に入りポイントです。

右下のシートクランプと薄くてラバーOリング入りのヘッド部品は、Sputnikを選んでみました。かなり深めの青を狙ったんですが、濃すぎて直射日光ガンガンで見ないと黒みたいですね。アルマイトでは、色調のコントロールが難しいんです。大メーカーでもロットによってバラつくくらいで、処理時間、処理温度、材質などの影響を大きく受けます。

Sputnikのシートクランプは鋳物のアルミでバリが酷かったので、修正ついでに少し穴の形を変えてみました。最初の色が化学洗浄でも全然落ちないので不思議がっていたら、まさかの黒塗装でした。ヘッドパーツの方は切削で真面目に作ってありますが、上面のステムまたはスペーサーに当たる部分の直径が小さくて、ちょっと不合理な気がするので削りました。手ヤスリで、全体を0.5mmほど薄くする感じです。DIYでやっちゃいけない改造の典型みたいなものですが、結構まじめに精度を出したので大丈夫でしょう。1周のうちで高いところと低いところの差が0.01mm程度には収まっているはずです。大した精度レベルではないですが、ぶっちゃけ市販のステムなんてもう1桁上で面が波打ってるものも普通にありますからね。これ以上追い込む意味はあまりないでしょう。

アヘッドスペーサーは手持ちの適当なやつですが、ものによって染まり方が全然違います。右の3枚はバラバラ過ぎて困りますが、左の3枚が大体目標通りの濃いめに仕上がったので足りるでしょう。多分、材質は6061や2017が混じっているとか、そんな状況でしょうか。

右のトップキャップは、今回どうしようもなかったものです。化学洗浄している時からスマット(スス)がひどく、合金成分というよりは不純物という感じでした。アルマイト処理は時間を変えたりして何度か試しましたが、全然ダメです。まあ、元が正体不明の鋳造アルミ(かどうかも分からない)にテンプラ塗装してあるレベル、完成車付属の部品単価で言えばヒトケタ円のものでしょうから、仕方ありません。まさかこの子も、自分がアルマイト処理される日が来るとは思っていなかったことでしょう。心の準備ができていないところにすみません。

左下は、DemolitionのBBスペーサーです。こちらもやり直しの甲斐なく、目標通りには染まりませんでした。まあ、あまり何度も化学洗浄していたら寸法もヤセてしまうので、また素材が分からない以上は処理条件の煮詰めようもなく、泣く泣く終了です。しかも今、厚い方をよく見ていたら変なクラックがビシッと入っています。Demolitionはライダーが良いから好きだったけど、こりゃ無いな。

という具合に悲喜こもごものアルマイト祭りだったんですが、まあそれほど破綻なくできて良かったです。そういえば、前回やった時は色がマダラになって困ったなあ。

自転車用の汎用圧入工具を、M16のクロモリボルトを利用して作って使っています。ボルト自体の強度は自転車工具メーカーのよくある圧入工具より遥かに高く、もし壊れても、または長さの極端に違うものが必要になっても、取り替えが利くので調子良いです。当然、内径16mmの色々なアダプターが必要になるので、買ったり作ったりしました。その中のChris King用のアダプターを旋盤で作った時に今回のステムと同じ色で染めたんですが、ムラがひどいんです。機能に支障ないので気にしちゃいませんが。ちなみにこの工具、ちゃんとスラストベアリングが入っているのがポイントです。薄い板が何枚か見えるところです。このベアリングにも自作のアルミ製内径アダプターをかましているので、次にアルマイトする機会があれば忘れず一緒にやってあげないと。

ステムに話を戻すと、純正のゴミみたいなボルトは捨ててちゃんと強度区分12.9のキャップボルトを入れるわけですが、設計者が何を考えたのか知りませんが長さが半端です。理想的と思われるのが、フロントキャップにM6x18、フォーク側クランプにM6x16となります。マジっすか? でも全部M6x15で組んで雌ねじが抜けても切ないので、泣く泣く探します。何本も切って面取りして黒染めするのも時間がかかりそうなので。ホームセンターは全滅、市内のネジ問屋は「規格にないサイズだ」と。いやいや、ネジ屋のカタログには大抵載ってるから!あと、シートクランプに使いたいM6x22もね!

ネット通販では見つかるものの、単価の安い小ねじのことで200本売りとかが主流です。そんな折に見つけて利用したのが、「ネジのプロショップ山崎」でした。対応も良く、本当に小口で買えるので助かりました。ちょっとだけ買うと送料が大きく見えちゃいますが、半端サイズの小ねじをいちいち箱で在庫するよりマシ。今は手元にM6x16が14本、M6x18が11本、M6x22が12本ほど残っていますが、これで一生このサイズは買わなくて良いレベルじゃないでしょうか。

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