スカイマークの炎上コンセプトを深読みしてみる

先月あたりに日本の空を揺るがせたスカイマークエアラインズのサービスコンセプト。「余分なサービスはしません。ちなみにその余分には結構色んなモノが含まれますが、とにかくしません。文句あったら消費者文句センターに言ってね」というものでした(Zakzakニュースはこちら)。で、これについてちょっと思うところもあったけど、すっかり忘れていたので今更ながら蒸し返してみます。

「安全には金がかかる。過剰サービスにも金がかかる。うちは安全に対してはケチらないけど、過剰サービスにはビタ一文投資しないことで格安運賃を実現する。文句あるなら他社でどうぞ」ってコンセプト自体は、アリだと思います。しかし、この件があれだけ炎上した原因のひとつは、あのスカイマークが安全を語れる義理かよ、という常識的な反発でしょう。それと、安全教育をみっちり叩き込まれたレベルのスタッフがマトモに接客できないなんてあり得ないだろ、という違和感と。

私は以前に富士山で登山ガイドをしていましたが、そういうシーンというのは航空会社と同様、安全第一です。お客さんが怪我をしたり、体調を悪くしたり、行方不明になるのは最悪です。だから、仮に嫌われても、時には怒鳴っても、山頂に行くことをあきらめさせてでも、それぞれのお客さんに体力と安全の範囲内で目一杯楽しんでもらって、無事に帰ってもらいたいわけです。ところがある時、遅ればせながら気付いたのですが、気配りとかコミュニケーションを密にすることが安全につながるということも言えるのです。ガイドがニコニコしていればお客さんも体調が良い悪い、実は持病がある、早くビール飲みたい、などと打ち明けやすいですし、そのガイドが厳しい顔で「台風が直撃します、引き返しましょう」と言えばみんな納得してついて来やすくなります。こういう事情はは空の上でもそう違わないんじゃないかと思うわけです。

個人的には、笑顔ニコニコ過剰サービスを廃することで低コストの選択肢を提供するというやり方は今後の日本では重要になると思います。ただ、この件でミソがついたから遅れるかも、とも感じます。こういうサービスを「感情労働」と名付けた経済学者もいますが、同じようなサービスでも丁寧にニコニコして行う方が高コストだという考え方もあるわけです。一方、日本では、よく言われる「安全と水」と同様、サービス=タダという図式があります。あるいは、お客様と向き合う際の心がけとして、労働倫理や個人的資質の問題とすり替えられてしまったり。その中でこれだけの花火を打ち上げれば、そりゃ炎上もするでしょう。

で、一足飛びに結論、というか仮説です。これは日本語の通じない外国人スタッフを導入するためにスカイマークが打った布石だったんじゃないでしょうか? そう考えれば、かなり辻褄が合うんですが。人件費の安い国のエアライン経験者を中途採用すれば、ランニングコストとしての人件費自体が安く収まる上に研修期間の居食いコストも削減可能。最低限の安全教育はクリアしているし、日本語が覚束なくても問題ありません。

そうやって安くして、乗るかと問われれば、私ならちょっと乗ってみたいですね。安全なら。

ちなみにノースショアプロダクツの方針としては、「感情労働にあくせくするよりも、自信を持って他にない最高のモノや体験を提供します。でも、結局ニコニコしています。やっていることが好きだから。」という感じです。

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