さようなら、サムさん

1週間が経ちました。

札幌に Sam’s Bike という自転車屋さんがあります。今年で開店25周年、スポーツバイク専門店としては老舗の域に達しようかというところですね。トガッた自転車店としては、北海道でも1本の指に入ると言っていいようなショップです。私は幸いに家も近いし、それ以上に自転車に求める趣味性や乗り方の好みが近いこともあり、一介のライダーとしても、ビジネスの上でも、ものすごくお世話になってきたお店です。

その Sam’s Bike のボス、「サム」こと松浦修氏が急逝され、お別れをしてきました。本当に残念でなりません。亡くなる数日前、きれいに化粧直ししたうちの Sumo Roller で乗り付けたらたいそう喜んでくれて、今までに乗った誰よりも攻め攻めで近所を一回りして楽しんでくれたのに。実はプロレベル(というかプロ)のミュージシャンである松浦さんに乗せられて私もバンド活動をしてみて、下手の横好きなのをすっかり忘れるくらいに盛り上げてもらって嬉しかったのに。

せっかくなので、松浦さんときちんと知り合う直前くらいのエピソードをひとつ。

確か1996年だったと思いますが、北海道のMTBシリーズ戦のスラローム大会のひとつが夕張マウントレースイにて開催されました。私は雨の芝生にとても効く決戦タイヤを履き、そこらで拾ってきたモトクロッサーのフォークをぶち込んだ自慢のMTBをヒーコラ言いながら押し上げ、ポールをバッキンバッキン倒しながら駆け下りました。ゴール後にドラムブレーキの制動力に耐え切れず即席のブレーキマウントがひしゃげたりはしましたが、納得のいく走りでした。そして、最後に計測結果が張り出されると、2位に入っていたのでした。当時はひたすら無名の徒でしたので、参加者はみな「誰だこいつ」といぶかしがっています。そして、その上にあった名前が「松浦修」。みんな納得の1位です。お店を出して5年目くらい、MTBやBMXのストリートカルチャーとしてのノリを北海道に持ち込んだだけでなく、乗り手としても非凡な存在でした。その頃の大会で松浦さんにちょいちょい負けていたメンツもその後はジャパンシリーズで活躍したり、世界大会まで行ったりしたと考えれば、その凄さが伝わるかと思います。

まあ、何よりすごいのは、乗り手としての腕があまり話題にならないくらい、その発想力や行動力、メカニックとしての技術、またミュージシャンとしての活動が色々な人を魅了してきたということでしょうか。お通夜の日には会場の200台しか入らない駐車場があふれ、順番待ちの長蛇の列が国道36号線に大渋滞を作ってしまいました。松浦さんらしい送られ方だったと思います。

最後に、私の好きな写真を、惜しまれつつ休刊となった MTB Magazine から拝借してきました。2002年の勇姿です。

最高のセッションをありがとう。

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