冬道の安全/危険運転考 – 2

だいぶ間が空いてしまいましたが、最近話題のカーリングの聖地、北見市常呂に向かう総延長300kmのスケートリンク道路で鬼渋滞に巻き込まれ、スタックしたトレーラートラックを助けてあげることができずに泥縄フックを呪ったところまでが前回のあらすじです。

今回は、自分が事故りそうになってヒヤリハットしたお話をお送りいたします。

安全運転には、能動的安全運転と受動的安全運転があると私は考えていて、両者はかなり性格を異にするものです。能動的安全運転としては、まず車の操作がきちんと上手にできることが重要で、人間が車を運転する限りにおいては不可欠のものです。しかしこれを変にこじらせると、「俺は上手いから事故らないぜ」とか言いながら公道を数百km/hでぶっ飛ばす方向になってしまうので注意が必要です。一方、受動的安全運転としてはまずスピードを出さない、危なそうなことはしない、危なそうなものには近づかない、というあたりが重要ですが、これまたこじらせると大変でして、成田山の交通安全お守りステッカーをペタペタ貼った車で制限60km/hの道を40km/hで走り続け、途中で物理的限界速度40km/hの凍ったコーナーがあってもそのまま突っ込んでいくようなただの鈍感運転になるケースもあるわけです。

危険運転も同様で、率先してアクティブに危険なことをしているパターンと、そんな反社会性人格障害でもないのに結果としてパッシブな危険運転をしているケースとがあります。よく話題になるのは当然目立つ前者の方で、これは本当にやっちゃダメです。他の車が気に食わないからって煽ったりぶつけたり爆撃したりしてはいけません。しかしまた一方で、受動的な危険運転というのも大問題で、というか私はこれ嫌いです。本人に悪気が無い分かえって面倒だからです。

例を挙げましょう。ある夜、田舎国道を走る私の前に、対向車とすれ違うたびにブレーキを踏む車がいました。きっちり毎回必ずです。この時ほど追い越し禁止を恨んだことはありません。複数の車が道路をシェアするということはペアで踊るダンスなんかに似ていて、次にどういう動作が来るのかパートナーにきちんと伝わらないとギクシャクします。どっちに動くのか、右にスピンするのか左なのか、なんてことを必然性を持った動作によって伝えるのはリードする側の義務です。そのために車にもウィンカーやブレーキランプがあるわけで、それらの誤用は危険を招きます。すれ違いブレーキさんについて言えば、「シカが飛び出してきた」あるいは「道がそこで終わってた」なんて可能性のあるシグナルをものすごい頻度で受け取って、わたしゃ大層疲れたわけです。もちろん途中からはそういう運転だと分かりましたが、それはそれで今度は、オオカミ少年の原理により本当に何かがあった時の反応が必ず遅れることになります。

で、ここまで全て前置きだったわけですが、今回というか先月の話に行きましょう。ある夕方、温泉に向かっていると、前の車がいつでもどこでもランダムにブレーキパカパカさんでした。ほんとAT乗りは下手くそさに下限がなくて困るよね、なんて偉そうなことを考えていると、鉄道ガード下で赤信号になりました。この日はずっと凍っていなかった道路も時間的にそろそろ凍結開始といったところです。谷底地形のせいか、滑り止めの砂利が結構溜まっています。その時、前の車、停止線20m手前でフルブレーキングしました。え? うそでしょ? ギャーやめて!

この冬一番の人力ABS、炸裂させました。ギャーとか言いながらもミラー見て隣車線の後続車がいないのは分かっていたので、濡れて凍りかけでジャリジャリの路面でズルズルと断続ブレーキングしつつ向きを変え、スピードを落としつつ隣車線に逃げることができました。一方、ランダムブレーキさんは何もなかったかのようにスルスルと停止線に向けてまた動き出していたのでした。

私のトラックにABSが付いていないのはランダムブレーキさんのせいではないし、もっとガッツリ車間距離を取っていれば多少は余裕があったのも事実です。まあABSは付いていたとしても速度域から考えてあまり差は出なかったでしょうけれど。しかし、例えばラッシュアワーの駅構内で突然歩みを止めれば後ろの人が突っ込んでくるのは当たり前。どちらが悪いという話をしたいわけではなくて、適宜サインを出しながら必然性のある動作を紡いでいかなければ、ダンスは踊れないのです。とりあえず、それなりの技術を磨いておいて良かった。誰も、誰の車も傷つかなくて、本当に良かったです。

皆様も、ご安全に!

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