最後の踊りは丘を駆け下りながら(3)

ダウンヒルバイク改造話、まだまだのんびりと引っ張ります。

トラブルが無ければ現状最速のディレイラーによる外装変速だけど、少なくともダウンヒル競技について言えば、これってF1マシンでラリーを走ろうとするくらいの不合理な綱渡りじゃないですか?っていう出発点についてだいたい語り終えたのが前回のあらすじです。そして今回は、実際の改造風景を。

ちなみに、内装変速やシングルスピードに換装しつつも、チェーンテンショナーとして使うためにディレイラーを残す改造手法もあります。それならめっちゃ話早いです。しかしそれでは耐障害性は一切改善されないため、要は両システムの悪いとこ取りになるので論外です。だから、あくまでもスマートなアイドラースプロケットの配置によってテンショナー不要というのが当初の目標でした。まあ能書きはともかく、実際の改造風景を!

使用工具その1、ボール盤に咥えさせたホールソーが火を噴きます! 最初にじっくり検討して決めた位置にプーリー(アイドラースプロケット)を固定するためのマウント類製作です。一般的な工業界の感覚で言うと、精密加工を可能にするフライス盤とかでなくこんな安っぽい道具でこういう部品を作るのは馬鹿です。でもフライス無いし。

穴あけ箇所が多いので、穴あけリストを作りました。こういう加工は基本的にドリル径の細いものから太いものへと順に加工し、それに合わせてボール盤の回転数も調節していきます。そこで戻りが発生すると作業効率が大きく落ちますので、このサイズのキリはこの部品のあの箇所とあの部品のこの箇所に開けるんだよ、ってのを毎度考える手間をカットします。これは正解でした。

このブランクを切り出している段階で材料に切削痕が多いことから分かる通り、どれもこれも端材の再利用です。材料の歩留まりというのは工業的に重要な要素なのですが、まあそんな商業上の採算性は置いといて、変な形の余り材料をかなり無駄なく使えたというのはモッタイナイ精神の点からも高評価です。私の中で。そのために設計上の制約を強いられた部分もあるのですが、幸い何とかなりました。

また、いくつかのブランク材同士、穴位置を合わせるために接着してから穴を開けたりしています。クランプして瞬間接着剤を流し、加工した後で炙って剥がすという手順です。これも期待通りの効果で作業を楽にしてくれました。

今回習得した加工方法。鉄もアルミも木材も切れる切断機を最近買ったのですが、ワークピースの固定方法を工夫すれば色々な切り方ができると気づきました。

最初のブランク(だいたいの外形)を大きめに作っていたので、ギャギャンとトリムしたり。

全くどうでもいいのですが重量を計ったりもしてみました。重さとか漕ぎの効率といった面でハンディキャップを背負うのは重々承知していますので、どうでもいいです。

…と言っても軽いに越したことはないので、強度を要求されない場所を吟味してどんどん肉を削いでみます。意外と軽くなりました。

ドリルでボスボス穴を開けたり、その間を適当なビットで削ってつなげたり。このビットは20年以上前に安いセットで買ったものなのですが、不思議とまだ活躍してくれています。めっちゃ安物のセット品だったのに。

こういうことしてると自分神経質だなーと思いますが、軽量化のために開けた穴に泥が詰まったりしては本末転倒ですから、塞いだりします。このスポンジ状のものはホームセンターのシリコンシーラント(コーキング)売り場にあるバッカー材です。実は、塗装時にネジ穴をマスクするときなど、適当にちぎって突っ込めるので、サイズをいくつか揃えておくととっても便利です。軽いし安いので。

まあ適当にやってるように見えるとは思いますが、実際それなりに大変な作業でした。特にこの部分。

プーリー3個のうち1個は、チェーンの伸びを吸収する目的もあってテンショナー機構を設けました。BB基準で位置決めしている他2箇所と違い、フレームのチェーンステイに固定する部分です。他の設計をがんばったのでテンションをかける方向には数mmのストロークで間に合うのですが、大変なのはその土台部分。チェーンは車体の中心線と平行ですが、この部分のフレームはそうではありません。なので、車体中心線とフレームチューブ中心の2つの基準平面を意識する必要がありました。

また、この部分。

上側、つまりテンション側のプーリー台座です。一般的な自転車のチェーン脱落防止機構は下側、つまりたるみ側に設けます。しかし今回は静的配置のアイドラースプロケットでチェーンの張りを一定に保ちたい!絶対!という課題がありますので、結果として張り側にもプーリーを設置せざるを得ませんでした。その場合に何が問題かと言うと、ペダルを漕ぐ力がプーリーに大きくのしかかるということです。そのため、この部分はかなりの強度的余裕を持たせる必要があり、たるみ側の場合と同じに考えていると簡単にプーリーがちぎれることになります。この部分のフレーム固定ブラケットをかなり頑丈に作ってあるのもそれが理由です。

最近ではCommencalやNorcoなどハイピボットでそこにアイドラーを入れる設計も増えているようですが、テンション側ということでスラック側よりずっと強度を担保できる設計にしていると思います。まあ実物あんまり見てないんですけど。

さあ、ここまで嫌というほどアルミを削ってきたので、そろそろ鉄でも削りましょうか。

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