Red Bull パンプトラック世界選手権 in 赤井川

週末、けっこう大きな自転車の大会に出てきました。最近はやりのパンプトラック(凹凸うねうねの周回コース)で速さを競う新種目で、主催はエナジードリンクのRed Bull。10月の世界最終戦に向け、世界各地、確か20箇所ほどで開催されているシリーズの一環で、今回のものが日本予選という位置付けになります。

開催地は北海道の赤井川村。小樽とニセコの中間くらいに位置し、日本で唯一火山の噴火口内に人が住む土地であり、カルデラ内の集落を中心に1000人ちょいの人口があります。今年始まったこの大会シリーズは「Velosolutions」というスイスのトレイルビルダーとレッドブルとの緊密な連携のもとに運営されており、今回日本初のVelosolutions謹製トラックがこの赤井川にあるレクリエーション施設「Tomo Playpark」内に作られたというわけです。

私の住む札幌からであれば車で1時間半程度の距離に世界レベルのコースができたわけで、本州のライダーからすれば「ずるーい」と言われそうな状況ですが、まあ北海道にはろくなBMXコースも公共スケートパークも無いという惨状に鑑みてジェラシーの鉾をお収め下さい。ちなみに赤井川での事前練習は一切できなかったので、そこもジェラシる必要ないです。日帰り圏でこの大会が催されたことはもちろん非常な幸運でしたけれど。

コースにある洗濯板様の凹凸を利用して自転車を加速させるのがパンプトラックの醍醐味で、原理としてはブランコを漕ぐのと似たようなものです。このパンプ力に関しては私けっこう自信あったんですが、同時に本州から来るガチBMXレーサー勢がやっぱり大本命だろうなとも思っていました。コースが長いので、持久力か死か、って感じですし。

予選は一人ずつ走って時間計測し、男子32人、女子8人が決勝トーナメントに進みます。決勝は「デュアル」を謳って2人同時スタートですが、コースが単一のループ状なので実際には「追い抜き」形式でした。輪っかを時計に例えれば3時と9時の位置からヨーイドン、からのそれぞれ3時と9時まで1周、てことです。

で、結果。とりあえず20位で予選通過できましたが、決勝ですぐに敗退し、ベスト32止まりでした。無念。すごく大雑把に全体結果を総括すると、男女各トーナメントの上半分はだいたい本州ガチ勢に占められていました。下半分に北海道ローカル勢が入れたのはとても喜ばしいですが、トーナメント第一ラウンドでまとめて虐殺された感じです。

そうそう、サイクルスポーツのオンライン版でこの大会の記事が出ましたが、1枚目の写真に写っているライダーが私でした(照)。奥の方をよく見ると対戦相手の竹之内悠選手の背中も写っています。ロードにMTB、シクロクロスと幅広く活躍しているすごいライダーです。赤Tシャツの私は少しでも脚力を保たせるために前日考案したスイッチスタンス大作戦で、いつもと逆の左足を前にしてこのセクションを走っていますが、そんな小手先でどうこうなるものでもなく敗退をキメたのでした。

結果はまあショボショボでしたが、色々なライダーが色々なバイクで参加し、和やかな空気の中で頑張って競争して、楽しいイベントでした。4月頭にこのレースを知って申し込み、一進一退ありつつもここに向けて体のコンディションを整えて来られたことも今後につながる収穫でした。一緒に遊んでくれた皆さん、応援してくれた皆さん、ありがとうございました。

Clickerハブ再アルマイト

さて、だいぶ以前から匂わせるだけ匂わせていた作業のご報告です。リビドーバイクカンパニーから発売中のClickerハブ、漢のグリーン単色展開なのですが、他の色が欲しいというご要望にめっちゃランダムにお応えすべくいくつか再アルマイトしました。ご要望の多かった黒が数個、その他は各色1個2個程度です。

早い者勝ちですので、気になる方は取扱店または弊社にズバッと注文して下さい。現在いずれも11Tコグ仕様で組んでありますが、12~16Tの2ピースコグ仕様への変更も可能です。

注意点ですが、気まぐれに社内で化学実験をしたものであることと、陽極酸化処理を再度行うという作業自体の特性から、製品としての完成度は元の緑Clickerより低いです。アルマイト剥離に伴う表面の荒れなどが結構あります。機能に差し障りのあるものは弾いていますが、表面のザラつきや色ムラ、経年劣化での退色などについての保証はございません。

実は今回陽極酸化処理設備を一新したこともあり手間暇コストいっぱいかかっていますが、上記完成度の問題と相殺でお値段据え置きです。

ちなみに、手間のかかり具合が実際半端ないので、今後二度とやらない可能性が高いです。さらに正直言うと、精度の悪化がひどくてゴミになったハブシェルがいくつもありますし。

それでは以下、再アルマイト加工したハブの色調をご紹介します。画面での見え方は実際の色合いと異なる場合があります。

Black
定番の黒ですが、ツヤの出方に個体差があります。マット気味、グロス気味など、在庫の中から可能な限りご希望に対応します。

Dark Matcha
個人的には大好きな色です。

W.E.B. (Wedgwood English Breakfast)
染色に老舗ウェッジウッドの茶葉を贅沢に使用しています。

Ice Stone
青みがかったグレーです。

Dirty Gold
ランダム染め、かなりワイルドでグランジな感じになりました。

Dirty Champagne
上のと近いですが、やや黒比率低めです。


ご質問などございましたらお気軽にどうぞ。お問い合わせフォームはこちらです。

先取りハロウィーンやっと終了

先月はそれなりに疾風怒濤の波浪に揉まれました。そう、世間よりもきっかり半年早く、ハロウィーンを始めてしまったのです。

しかも、自転車に乗っていたとは言え、何か攻めていた要素など一切なく、ただの移動中。恥ずかしいったらありゃしない。優しい通行人と優しいお巡りさんとに救われ、プロフェッショナルな救急隊と病院に助けられ、擦過傷と裂傷と頭蓋骨骨折に見舞われながらも大筋では無事だったのがまあ何よりです。しかしこれではジャニーズ復帰が危ぶまれるところです。参ったなぁ。

そんな具合に幕を開けた私の誕生月ですが、今年は運転免許の更新があるのでした。ただでさえ誰しも人相が平時より2ランクは悪く写ると囁かれる免許証ですから、ここはギリギリまでじらして粘る作戦でいきます。

そして先週、更新期限2日前。

ほぼほぼ、人間界に戻って来れました。ああよかった。

ご心配をおかけした皆様、手を差し伸べてくれた皆様、本当にありがとうございました。おかげさまで私はまた元気になり、平常通り変なモノづくりに勤しんでおります。

栗城くん、さようなら

「登山家」栗城史多が亡くなったということで、以前に書いた彼にまつわるエピソードに沢山アクセス頂いていました。

私にとっての彼の印象はあの5年前の時点から特に変わっておらず、「日本初の本格派山岳詐欺師」といったところです。ちなみに世界レベルで言うと、とりわけ単独行者の世界では登頂の証明が困難であるという要素もあり、トモ・チェセンのように疑惑にまみれた登山家は他にも存在します。そんなチェセンも本来の実力は非凡なものがあったそうですから、類似のケースとは言えませんが。

一連の活動の中で栗城くんがなぜ年々自分からハードルを上げて必ず死ぬようなルート設定をするのかということは一つの謎だったのですが、ネットで見た「大学受験を毎年続けていて、ただでさえ高望みの志望校が浪人年数を重ねるごとに更にランクアップしてしまう」という例えがしっくりきました。ただ違うのは、なんぼ東大理三でも毎年必ず100人ほどは合格するっていう点でしょうか。大学の例えをもうちょっと引っ張るとすれば、栗城くんの掲げていた挑戦は「小学校を出た瞬間に飛び級してハーバードに入る」くらいのレベルです。有史以来ずっと、体力自慢、頭脳自慢、装備自慢、資金力自慢、そしてそれらのあらゆる組み合わせを持つ人々が挑戦してきて、成功した人が一人二人いるかどうか、という領域なのですから。

死者に鞭打つのも虚しいですし、栗城くんの嘘や欺瞞については私が外野からこれ以上言い募っても仕方がありません。しかし一方で、彼を持ち上げていた人たちやメディアはきちんと事実に基づく総括をしてほしいなとも思います。マイナースポーツに偽りの偶像を持ち込んでかき回し、後は野となれ山となれというのではあんまりです。

5年前、「彼に落とすお金は死に銭だよ」なんて、私もずいぶん上から目線で知人に言い放ったもんです。しかし、結局彼へのそうした「サポート」が彼の六文銭になってしまいました。残念なことです。

日出ずる国にITが沈む日

月初にちょっと東京に行って、ショックを受けたことがあります。

日本のIT(情報技術)はもうダメかもしれない。

そう考える発端はこれまでにも山ほどあったのですが、今回は特に自転車がらみの切り口から。たまたま目にしたNewsweek日本版の記事です。

東京のシェア自転車は役に立ちますか?

また、その前段となる記事も過去に読んでいました。

自転車シェアリングが中国で成功し、日本で失敗する理由

2本まとめて超要約すると、こんな感じです。

  • 自転車シェアリングが中国あたりで爆発的に普及中
  • 問題もあるが、それ以上に社会革命と言えるほどの成功を収めている
  • 日本も追随しているが全然ダメ、なぜなら
  • 理由1:交通インフラの都合上、必要性も利点も薄い
  • 理由2:システム設計がアホだから使いづらい

これらの記事に対する反応は賛否両論あるようですが、私はほぼ全面的に賛同します。きちんと現地で利用した体験に基づいていること、根拠となるデータの明示、社会学的考察の包括性、などの点でとてもしっかりと書かれた記事だと思いますし。

私は2014年に台湾・台北で同様のシェアバイクを利用し、2017年に中国・上海で街角のシェアバイクを横目で観察し、今年2018年になって東京のシェアバイクに乗ろうとして諦めました。そんな些末な体験を元に、日本のIT業界をディスって憂さ晴らしでもしようというのが今日のテーマです。

ちなみに、こうしたバイクシェアリングでは身元認証のために携帯電話を使うのが標準的であり、東京のプログラムでドコモ系の会社が運営主体となっているのもおそらくそういう絡みです。

で、日本のIT業界では巨人であるはずのドコモが牽引するこのプログラムがどれほど使いづらいのかは引用記事にある通りですが、私は実はそこに至る前に落伍しました。登録画面でどのように操作したら良いのかは公式チュートリアルを見て確認したのですが、そこに出てくるサンプル画面と実際の画面が微妙に違っていて混乱したというのが第一のつまずきでした。さらに、そんな状況で支払い方法とか間違って登録したら困るので、携帯電話と紐付けされる登録IDを一旦削除してやり直したら「既に登録されている番号です」と出てにっちもさっちも行かなくなる始末。登録画面のユーザーインタフェースが「はじめてつくったホームページ」みたいなセンスで使いづらいのは100歩譲って許すとしても、バックグラウンドのシステム設計がゴミレベルなのはいただけません。あんたら何屋だったっけ?って話です。

引用記事の中で私が特にツボったのが、この考察です。

どうもドコモのおじさんたちは、日本人は携帯電話やスマホをプチプチ押すのが好きだ、押す回数が多ければ多いほどみんな喜ぶという前提でこの仕組みを設計したとしか思えない。その結果、モバイクなら5秒程度で完了する手続きがドコモだと1分以上かかってしまう。

これって実はシェアバイクだけに当てはまる話ではないと思うんです。オンラインバンキングでも、車検でも、会社の事務処理でも、日常色々なシーンで似たようなことがチラチラと起きている気がします。

私だって「ひと手間かける」という美徳には共感します。例えば、たまに手書きの年賀状をもらったら嬉しいですし、一から出汁を取った料理は格別です。しかし、それはユーザー側の話。システム側の設計として問答無用で「ひと手間かけさせる」というのは欠陥であり、誰も得をしません。それでも修行僧のような心構えで頑張ってプチプチ押してくれる人は一定数いるわけですが、そういうマーケット特性に甘えている間にスマートなインタフェースを持つ黒船がやってきてガラケーとiモードがまとめてお焚き上げされてしまった過去からドコモは一体何を学んだのでしょうか?

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