目黒のサンマと、モーツァルト

2008.11.22 Filed under: Staff Blog Written by: Kusahara

秋といえば、秋刀魚ですね。しばらく前に、1尾50円!ということで2尾買って、すぐに全部焼いて食べたら蕁麻疹出ました。時々、魚アレルギーなんです、私。

ある時、江戸のお殿様が目黒辺りに狩りに出掛けました。空腹のため、付近の民家で秋刀魚を馳走になったところ、これが実に旨いのです。後日、城内での宴の際に、庶民の魚である秋刀魚をわざわざ所望するほどでした。ところが、これが全然おいしくない。産地を聞くと、魚河岸でプリプリのものを求めてきたとのこと。そこで殿様は仰せになります。「いかんいかん、秋刀魚は目黒に限る。」

これは落語の名作、「目黒の秋刀魚」です。解釈としては、お城の料理人が万一の事故などないようにと骨を除き、工夫を凝らしすぎて素材を台無しにしたという教訓であったり、魚や肉などは野菜と違って時間を置くことでタンパク質の変化により旨み成分が生成されるので、実際に内陸の目黒に運ぶくらいの熟成具合がちょうど良いなど、いくつかの説があるようです。しかし、私が強く感じたのは、心に残るおいしさというのはその時、その場所だからこそのものだということでした。もちろん、それを産地という単純なレッテルに置き換えてしまった殿様がおかしくて、可愛いわけですが。

これって、味覚に限らず、芸術体験一般に言えることかもしれません。例えば最近、モーツァルトについて読む機会があったのですが、彼はその時その場所で、目黒のサンマにはなれなかったアーティストです。同時代の人には訳が分からん、ひねくれすぎだ、と言われ、次の時代、19世紀には、なんつーかフツー過ぎるよね、とか言われちゃう悲運の天才です。20世紀後半に再評価され、あのサンマはヤバいよね、やっぱりサンマはウィーンに限る、なんて言われることになる訳です。

そんなモーツァルトや、他のクラシックの大家を評して、「彼らが現代に生きていたらヘヴィーメタルをやっていたはずだ」という議論になることもありますね。私は、こういう想像が大好きです。彼らがみんな弦楽バンドやオーケストラの譜面ばかり書いたのは、それしか楽器がなかったからです。増幅技術(アンプのことです)やシンセサイザーがあったら、彼らがいわゆるクラシック音楽の枠にとどまる理由もないでしょう。当時はとにかく、でっかいオケに弾かせなきゃ観客みんなに聞こえないわけですから。モーツァルトが本当にやりたかったのが Led Zeppelin だったとしても、The Stooges だったとしても。

そうそう、東京の目黒図書館には、サンマ型の机があります。以前、遠征時に立ち寄って感動しました。疑いなく、私が今まで見た中で一番ロックしている公共施設です。

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排除の憂鬱

2008.11.14 Filed under: Injuries & Health Written by: Kusahara

排除とは、人間の体が侵入してきた異物を対外に排出しようとする現象です。例えばピアスなどでも、耳たぶの端っこにあけてしまうと段々と穴が更に端に移動してしまい、ついには排除されたりします。耳のように突出していない体表面に行うサーフェスピアシングなどが失敗しやすい、大きな理由でもあります。

怪我をしてガラスの破片とか木片がいっぱい刺さってしまったような場合、この作用で数週間とか、場合によっては数年してから異物が出てくることもあり、そういう意味ではとっても便利な機能です。というより、任意の生物種が持っているほぼ全ての特質について当てはまることですが、これが生存に役立つからこそそれを持たない個体は死に絶えて、生き残りの私たちはこういう性質を持っているわけです。つまり私たちは意外とみんな生まれながらにして機能的で便利なわけですが、それはさておき。

さて、問題の排除なんですが、足首の手術跡から糸が出てくるんです。手術での縫合というのは、後から抜糸をする表皮の他に、それより中の層も別にしっかりやってあるんですね。そしてそれが、人によっては排除されてきます。私はどうも排除の傾向が強いのか、以前の膝の時も同じでした。あ、そういえば、耳のピアスでも一度ありました。

排除が起きないような手術の技法もあるそうです。一定期間で溶けて体に吸収される糸を使うとか。ただ、私が今までに受けた手術では一度も使われていないと思います。その溶ける糸が実用化されたという話は小学生の頃に聞いたけれど。

さてさて、普通は排除されてきた糸をプチンと取れば問題ないのですが、今回は表に出ているのが糸の端っこだけで、つかむ長さもないから様子を見ることになっていたんです。ところが、放置している間に化膿してしまったんですね。そして、腫れたついでに糸はまた消えてしまいました。まさに糸口が失われたってやつです。そして、昨日あたりまた腫れが引いたと思ったらプチッと穴が開きました。ああめんどくさい。さっさと、スパッと切り開いてブシッと取ってもらって構わない、とドクターに伝えた方が良いのでしょうかね。腫れてしまったら、動きも悪くなってまた回り道をすることになります。とってもテンション下がります。

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