自転車用語辞典

PT(フィジカルセラピー/セラピスト)

医療における「PT」というのは、日本語で言う「理学療法(士)」のことです。砕いて言えば、病院のリハビリ室で行われる筋トレのような治療過程と、その指導者です。英語では、

  1. physical therapy
  2. physiotherapy
  3. physical therapist
  4. physiotherapist

に相当します。このうち1と2は療法、3と4は療法士を指す言葉です。

この「理学療法」という言葉、残念ながら誤訳です。これは私個人の意見ですが、翻訳・通訳者としての判断でもあります。

Physical という語には「理学・物理学の」という意味もありますが、この療法においては、「身体」または「肉体」と訳すべきでした。英語では physics = 物理学、physical = 物理的な/肉体の、という関連がありますが、日本語ではこれらは直結した概念ではないと言えます。例えば、サッカー中継で「この選手は理学的な面で優れていて…」とは言いません。

そうである以上、手術や栄養管理とは別に身体を動かして物理的・肉体的に治療をしていく過程は、「身体療法」や「肉体療法」と呼ばれるべきだったのではないでしょうか?「理学療法」といういかめしい言葉は、患者が治療過程を分かりやすくイメージするチャンスを狭めていると、私は残念に思っています。

そんな訳で私は、「理学療法士」に言及する時はよく「PT」と言っています。これはこれで、分かりにくかったらごめんなさい。