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AKAIGAWA TOMO チャレンジカップ 参加顛末記

昨年熱い盛り上がりを見せたパンプトラックの大会、Red Bull Pump Track World Championshipなのですが、今年は北海道での日本予選がキャンセルとなり、ローカル勢はややしょぼくれていました。それを見かねて会場側と有志がローカル大会を開催してくれる運びとなり、9月16日、参加してきました。

レース形式はレッドブルの時と同じで、単走タイム計測で予選を行い、上位者がトーナメントに進出します。決勝トーナメントは、周回コースの3時9時に位置するスタート/フィニッシュラインから同時スタートのデュアル対決です。

先に結果をお伝えしますと、表彰対象の1位と2位はニセコ勢が獲っていきました。安定した速さで、かっこよかったです。

私はというと、去年よりは相当うまくなったつもりで臨んだものの、色々と失敗して決勝1回戦敗退。方々から優勝候補として期待されていた感はあったのですが、その割にずいぶんと不甲斐ない走りをしてしまいました。悔いは残りますが、いくつかの課題をしっかりと見つけられたことは良かったです。

(おや、こんなところに白線が…)

最大の敗因はここにありまして、私、テキトーなローリングスタートから巡航速度をなるべく高く保つ乗り方しか練習していなかったのです。しかしこういう競技の場合、スティルスタートから数秒間はグイグイとペダルを漕いである程度のスピード域に乗せ、そこからはペダル漕ぎじゃなくパンプ漕ぎモードに切り替えていくことが必要になります。今更そこかよ、という基礎的な話ではありますが。

スタートの失敗だとか、コブを吸収するときにステムが顎にガッツンと直撃したりといったアクシデントに涙目になりつつ、今年の技術的収穫である「とにかく飛んでく作戦」でいきます。全部ベタナメで行くよりは体力的に楽だと聞くので、それだけを心の支えとして。しかし、マニュアルやジャンプで行く場合、とりあえず前輪を浮かしてみました、とりあえず飛んでみました、では却って遅くなるのも事実。マニュアルでのパンプ加速はこの1年で大きく改善したのですが、ジャンプについてはまだまだのようです。レース向きの速い飛び方については、負けた翌日からBMXレースなどの映像を見漁っていたら多少理解できたので、今年中に試してみます。

ちなみに、この赤井川トモプレイパークのパンプトラック上には確か52個のコブがあります。仮に全てをダブルしたら1周で26回飛ぶことになります。その中で、この日のうちに私が飛べたのが13箇所。ちょうど半分ですね。去年の終わり時点では3箇所だけしか行けなかったので、「とりあえず飛んでるだけ」だとしても、進歩具合としてはまあまあかな。

普段のコース利用料は2時間1400円というシステムなのですが、オーガナイザーの粋な計らいにより、この日はレース後に何時間も自由に乗らせてもらえました。最初は「大会後にそんなわざわざ乗らなくね?」とか思っていたのですが、蓋を開けてみれば耳の穴から一酸化炭素が出そうなくらいの不完全燃焼。大会中からのグズグズした空模様にも構わず、他の参加者や仲間と乗りまくってしまいました。Night Forest色の社用車も持ってきていたので、色々な人に試乗してもらうこともでき、プロからホビーライダー女子まで、大変なご好評を頂きました。

このご好評というのが結構マジな話でして。比較対象になるのはS社のPとか、SC社のJとか、T社のTとか、大手メーカーが多大な開発費をかけて作り上げた、そして実際とても良く出来ている最新モデルだったりするわけですが、それらに勝るとも劣らないというか、むしろ勝っている、何より乗りやすい、ヤバいぜこれは、という有り難い評価をちょいちょいと頂いております。

もうひとつ発見だったのは、そのヤバみが世間に誤解されているんじゃないかという指摘をもらったこと。ヤバいヤバいが独り歩きして、あんなタナトスなんてチャリを買ったら尖り具合が伝染してうちのチワワがピットブルになっちゃうんじゃ?とか、またがった瞬間に全身の毛穴から血が噴き出したりするんじゃ?とか、あらぬ疑いを招いているようなのです。

ですので、少しだけご説明します。確かにストリート・ダートジャンプ・スケートパーク・パンプトラック用のMTBというのはニッチなジャンルであり、良くも悪くもブッ飛んだ性格を持つ尖った乗り味のモデルも多く存在してきました。また、私がこのTanatosフレームをデザインした時点での自転車設計の常識と比べれば、設計上「尖った」部分が多くあるのも事実です。しかしそれは全て、乗り手の操作にきちんと応え、自転車を乗りこなす楽しみを最大化させるため。良いハサミは誰が使っても気持ちよく切れるのと同じように、使い手の想像力をありのままに引き出せるような製品を作るためなのです。

ま、あまり自分とこの製品ばかりヨイショするのも気持ち悪いので、他の自転車の話もしましょう。試し乗り祭りが盛り上がる中、BMXのレーサーに何台か試乗させてもらいまして、これまた最高に楽しかったです。個人的には自分の思い描くストリートやダートでのライディングにはうちのタナトス以外何もいらないですし、そのまま盤渓などのMTBパークでも楽しめちゃう懐の深さもなかなかのもんだと自画自賛していますが、それでも、BMXやBTRなど、マニューバースペースの広い20インチの世界は深く、楽しく、示唆に富むものです。私の場合も、乗り方という面でも機材設計の面でも、一時期けっこうゴリゴリとBMXにも乗っていた経験がなければ学べなかったことが多くあります。上手く自転車を操って楽しみたいなら、普段のメインがロードであれフルサスMTBであれ、時にはこういう選択肢もおすすめですよ。

そんなわけで、競技成績自体はショボショボだったものの、楽しい交流の中で色々な発見もあり、素晴らしいセッションでした。一緒に乗ってくれた方、応援してくれた方、撮影してくれた方、そして大会運営に尽力してくれた方、皆様どうもありがとうございました。